今週は、日本発の商品が東南アジアでどう受け取られているかを3つの角度から見ます。クアラルンプールではポケモンセンターのポップアップ初日に、朝のうちに入場枠が埋まりました。バンコクでは日本のリユース店が13店舗目を出しています。一方で、日本からASEANへの緑茶輸出は、7月に金額が前年並みのまま数量が約半分になりました。店頭に並ぶ経路と価格が、それぞれ違う形で動いています。

クアラルンプールのポケモンセンター: 朝9時半前に午後の入場枠まで埋まった

9月12日、マレーシアで初めてのポケモンセンターのポップアップストアが、クアラルンプールのOmbak KLCC 3階に開きました。会期は12月31日まで、毎日10時から22時。開店から3日間(9月12〜14日)は整理券制で、列に並べるのは午前6時から、整理券の配布は8時からでした。整理券は1枚につき1人のみ有効で譲渡できず、午前6時より前に並んだり集まったりすると失格・入場拒否になる決まりです。この期間はポケモンカードゲーム(TCG)を販売しないことも告知されていました(Pokémon Asia公式)。

初日の様子はMalay Mailが伝えています。前夜から会場付近で待つファンがいて、午前7時半の時点で70〜80人ほどの列が建物を囲んでいました。9時半より前に午前と午後の入場枠がすべて埋まったとのことです。入場は1枚につき最大20分で、マレーシア限定のターコイズ色の毛のピカチュウのマスコット(ぬいぐるみ)などは1人1点まで。この日の開業は、任天堂のポップアップと並んでのものでした。主催者は同紙に、整理券制は常設ではなく、来場者数を見ながら入場方法を調整すると話しています。KLCC公園で開かれた30周年の記念イベントは無料でした(Malay Mail)。

この30周年イベント「PokéXciting!」は巡回形式です。Pokémon GOの公式告知によると、クアラルンプール(9月12〜13日)のあとは、台北が10月10〜11日、シンガポールが11月7〜8日マニラが2027年1月23〜24日バンコクが2027年2月13〜14日の順で続きます(Pokémon GO)。

セラー視点: 押さえておきたい事実は2つあります。1つは、これがマレーシアで初めてのポケモンセンター(ポップアップ)で、会期が12月31日までの期間限定だということです。もう1つは、限定品に1人1点の購入制限がかかっていることです。同紙が取材した来場者の中には、着ていたポケモンのTシャツを「Shopeeで買った」と話すペアもいました。公式売り場がある期間と、国ごとのイベント日程は上に挙げたとおりです。なお、キャラクター商品の越境販売は、権利元のライセンスや各プラットフォームのブランド保護ポリシーの対象になります。

バンコクのサイアム・ディスカバリーに、日本のリユース店が13店舗目

ゲオホールディングスは8月21日付のリリースで、グループ会社セカンドストリートのタイ法人が9月1日に「2nd STREET SIAM DISCOVERY」を開くと発表しました。場所はバンコク中心部の商業施設サイアム・ディスカバリーのM階です。売場は97坪で、衣料品・バッグ・靴・アクセサリーなど約1万点を扱います。タイでは13店舗目です。同じリリースの店舗一覧を見ると、1号店は2023年12月で、2026年に入ってからの出店はこれで5店目になります。商品は現地での買取品に加え、日本国内950店舗超の在庫からも選んでおり、タイで人気の高いISSEY MIYAKEやCOMME des GARÇONSなど、日本のデザイナーズブランドを集めた特設コーナーも設けています。

同社はタイ市場について、中古品を日常的に売り買いする文化が根付いていてリユースへの抵抗感が低いと説明しています。その一方で「偽造品の流通や曖昧な価格設定といった現地ならではの課題もあります」とし、日本で培った査定ノウハウによって「セカンドストリートなら安心して本物が買える」という信頼を得てきた、としています。これまでの出店は想定を上回る反響があり、来店客数・販売実績・ブランド認知ともに極めて順調に推移しているとのことです(ゲオホールディングス)。

グループ全体の業績は決算補足資料で確認できます(タイ単独の売上は開示されていません)。2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の連結売上高は1,250億円(前年同期比19.7%増)。うちリユース商材が848億円(同31.6%増)で、リユースの衣料・服飾雑貨は約351億円(同27.3%増)でした。店舗数の予想(閉店を差し引かない出店予定ベース)は、2027年3月期末にタイ15・マレーシア36・シンガポール4店。タイでは2035年3月期に50店を目標に掲げています(ゲオホールディングス決算補足資料)。

Inside Retail Asiaは9月23日の分析記事で、この店の棚は主に日本・欧州・米国のブランドで構成されており、地元の人が中古品を売りに持ち込むにつれてタイのブランドも増える見込みだと伝えました。タイで50店という目標については、H&Mが同国で14年かけて出した店舗が30余りにとどまっている、と比較を添えています(Inside Retail Asia)。

セラー視点: バンコク都心の商業施設で、現地の買取品に日本の在庫からの品を加えた中古品が、店を構えて売られています。この事実は押さえておく価値があります。同社はタイ市場の課題として偽造品の流通と曖昧な価格設定の2つを挙げ、それに対して査定の信頼を打ち出しています。中古のブランド品や衣料を越境で扱う際の前提として、同じ市場で日本の大手がこの2点を課題に据えている、という事実は参考になります。

ASEAN向け緑茶: 7月は金額が前年並み、数量は約半分

日本茶輸出促進協議会が8月31日に作成した7月分の国別統計(財務省貿易統計ベース)を見ると、ASEAN向けの動きがはっきり分かれています。ASEAN全体では、7月の輸出額が約9.2億円で前年同月比102.4%、輸出量は約121トンで同51.5%。1kgあたりの単価は3,821円から7,601円へ、ほぼ2倍になりました。1〜7月の累計では、金額が約72.5億円(前年同期比153.2%)、数量が約1,131トン(同80.5%)です(日本茶輸出促進協議会・7月単月1〜7月累計)。

7月単月を国別に見ると、落ち方の差が大きいです。

  • タイ: 数量28.7トン(前年同月比32.7%)、金額約1.84億円(同71.6%)
  • ベトナム: 数量18.8トン(同34.5%)、金額約2.21億円(同91.8%)
  • シンガポール: 数量13.3トン(同61.0%)、金額約1.03億円(同101.4%)
  • フィリピン: 数量8.1トン(同58.0%)、金額約0.76億円(同105.5%)
  • マレーシア: 数量40.4トン(同90.6%)、金額約2.68億円(同147.9%)
  • インドネシア: 数量11.5トン(同106.5%)、金額約0.66億円(同190.6%)

輸出全体(全仕向け地)の7月は、金額が99.6億円で前年同月比69.4%増、数量は1,048.9トンで同3.1%減でした。協議会は7月の概況に「大手得意先は、カフェ需要を含め価格改定を受け入れました」と書いています。あわせて、小規模小売業者の一部は輸入卸を通さない直接仕入れで小口化し、受注が減ったとしています。6月の概況には「売上高は増加したものの受注は激減」とありました(日本茶輸出促進協議会)。ただし、この概況はASEANに限った説明ではありません。

売り場の側では、茶飲料チェーンのCHAGEEが9月4日、『星の王子さま』とコラボした抹茶ドリンク4品をシンガポール全店で発売しました(発売時の告知)。CHAGEEシンガポールCEOのLawrence Wen氏は「まず抹茶そのものから始めた」と述べています(Marketing-InteractiveEatbook)。権利元の『星の王子さま』公式サイトも9月8日付で、この抹茶シリーズが9月4日にアジアのCHAGEE店舗で始まったと告知しています(Le Petit Prince公式)。確認したこれらの告知・記事は、いずれも抹茶の産地に触れていません。

セラー視点: シンガポールではCHAGEEが9月に抹茶シリーズを全店で発売しました。一方で統計から読めるのは、日本からASEANに出ていく緑茶の単価が約2倍になり、数量が約半分になったことです。その受け止め方は国によって違い、タイ・ベトナムは数量が3分の1程度まで落ちた一方、マレーシア・インドネシアは数量をほぼ保ったまま金額が伸びています。抹茶や粉末茶を扱っているなら、仕向け国ごとにこの違いがある、という事実が判断材料になります。

短信: 次に見ておきたい動き

  • 日本茶の8月分: 上の統計は7月分が最新です。ASEAN向けで数量の減少が続くのか、8月分が出たら確認します。
  • ポケモンの次の東南アジア開催はシンガポール: PokéXciting!のシンガポール開催は11月7〜8日で、会場はチャンギ空港とJewel、入場は無料です。シンガポール版PokéXciting!ピカチュウの特別グッズも販売されます。Jewelとチャンギ空港では11月3日から、対象店舗のレシートでオリジナルグッズを購入・引き換えできるキャンペーンが始まります(Jewelは2027年1月31日まで、チャンギ空港は2月28日まで)(Pokémon Asia公式・シンガポール)。同じ11月7〜8日には、The KallangのPokémon RUN 30会場にPokémon Center SINGAPOREのポップアップストアも出ます(Pokémon Asia公式・RUN 30)。

今週の出来事の網羅は週刊ダイジェスト2026年9月22日号にまとめています。