今週は3本です。シンガポールでは、ヘイズ(森林火災の煙害)で空気清浄機とエアコンの販売が伸び、一部の機種が品切れになりました。タイでは菜食祭(キンジェー)が10月10〜18日に開かれています。事前調査では、祭りに参加する人の割合は下がる一方、支出額は増える見込みです。タイのデジタル広告費の集計では、TikTokがMetaに迫り、スキンケアが全体の2割を占めました。
ヘイズで空気清浄機とエアコンが伸び、一部機種は11月まで品切れ
今週の週刊ダイジェストでは、9月の空気清浄機の売上が8月比+76%だったというGain Cityの数字を紹介しました。その後、伸びはさらに強まっています。The Straits Timesの10月13日付の記事(各社の回答は12〜13日)によると、Gain Cityの売上は8月比で9倍に増えていました。需要は10月9日から急増し、10〜11日の週末には一部機種が売り切れたそうです。Courtsは9月28日〜10月12日の販売台数が前年同期比で空気清浄機**+600%、エアコン+50%でした。PRISM+は10月の空気清浄機の販売が9月の同じ時期の6倍超に達し、一部機種は11月まで在庫切れ**です。同社のエアコンも前年同期比+30%超でした(The Straits Times)。比較の基準は会社ごとに違います。Courtsはダイジェストで紹介した取材では「直近3〜4週間で4倍超」と答えていました(Mothership)。
マスクについては、FairPriceとUnityがN95の需要は「わずかに増えた」と答えています。Watsonsは、約1か月前に前週比で大幅に伸び、その後も需要は高い水準のまま、伸びのペースが鈍ったとしています。ただ、同社のネット通販では13日午後、主にKN95のマスクで少なくとも7品目が「売り切れ」表示でした(同紙調べ)。Shopeeは取材に回答していません(The Straits Times)。政府は14日、高齢者や持病のある人などを対象に、コミュニティクラブなどでN95マスクの配布を順次始めました。マスクの自動販売機も交通拠点などに置いていきます。国家環境庁(NEA)は、小売業者の倉庫と政府の備蓄に十分な在庫があるとする一方、需要増で一部の小売店では一時的に手に入らないことがあるとも書いています(NEA、Mothership)。
マレーシアでも、9月22日の時点ですでに品薄が出ていました。The Starがクラナジャヤの家電店2店に取材したところ、1店では1,299〜1,599リンギの人気2機種が月の最初の週に売り切れていました。もう1店では約4,700リンギの最上位機種がその月は品切れで、一部機種の入荷は2〜3週間先とされていました。この店の価格帯は約400〜4,700リンギです。フィルターはおおむね6か月ごとの交換で、費用は約100リンギだそうです(The Star)。
セラー視点: 需要の山は天候しだいです。マレーシアの天然資源・環境持続可能性省の副大臣は10月13日の下院で、風向きが変わって今後2週間でヘイズは徐々に和らぐ見通しだと答えました。ただし天候の変化だけでは長期的な解決にならないとも述べています(Free Malaysia Today)。一方、ASEAN専門気象センター(ASMC)の10〜12月の見通し(10月5日更新)はもっと慎重です。エルニーニョ現象が10〜11月に強まる予測で、域内南部では雨が平年より少なく、ホットスポットと煙害は続くとみています。月末の季節の変わり目で雨が増えれば、和らぎ始める可能性があるとしています(ASMC)。本体の品切れが目立つ一方、空気清浄機を買った人には、マレーシアの販売員の説明では多くの機種で、これから半年ごとのフィルター交換が発生します。
タイの菜食祭: 参加する人は減り、支出は増える見込み
タイの菜食祭(キンジェー)は、今年は10月10〜18日の9日間です。中国式の菜食で、肉や魚を断つだけでなく、ニンニク、タマネギ、ラッキョウ、ニラ、タバコの葉の「臭いの強い5種」も避けます(Marketeer Online)。
タイ商工会議所大学(UTCC)が祭りの前の9月21〜28日に全国の消費者1,230人を対象に行った調査では、祭り期間の支出総額は469億1,300万バーツの見込みです。前年比+2.2%で、6年で最も高い水準です。一方、菜食をするつもりの人は32%(前年34%)に下がりました。支出が増えると答えた人の38.1%は、理由に「菜食料理の値上がり」を挙げています(UTCC)。1人あたりの支出は5,576バーツ(+7%)で、調査開始以来の最高です(Marketeer Online、Thansettakij)。UTCCの学長は、全食ではなく一部の食事だけを菜食にする人が増える傾向にあるとしています(Thansettakij)。
売る側は、調理済み食品と「祭りの外」への広がりに注目しています。セブン-イレブン向けに食品を作るCPRAMは、菜食商品を約40品目から約50品目に増やし、生産コストが上がる中でも価格を据え置きました。同社の幹部は、以前は信仰と結びついていた菜食で、若い世代を中心に健康の比重が大きくなったとし、一部の食事だけ肉を減らす「フレキシタリアン」層を狙って通年の品ぞろえを広げています(Marketeer Online)。卸売りのMakroのサトーン店の副店長は、今年の菜食商品の売上が**20〜30%**伸びると見込んでいます。材料を買って作るより、調理済みや温めるだけの食品が選ばれているという見立てです(Marketeer Online)。
セラー視点: 「植物性」と書かれた商品でも、菜食祭向け(ジェー)の基準を満たすとは限りません。タマネギやニンニクのエキス、動物性のだしが原材料に入っていないかは、表示で確かめる必要があります。先週号で取り上げた高たんぱくの流れと同じく、健康を理由にした食品選びが祭りの外にも広がっているという見方が、企業側から出ています。ただしUTCCの調査では、菜食をする理由に「健康のため」を挙げた人は10.2%でした(UTCC)。
タイのデジタル広告費: TikTokがMetaに並びかけ、スキンケアが2割
タイのデジタル広告協会(DAAT)とKantarが10月上旬に発表した年央の集計では、2026年のデジタル広告費は323億3,900万バーツの見込みで、前年比+0.3%です。年初は-0.3%と予測していました。プラットフォーム別では、Meta(Facebook・Instagram)が81億5,700万バーツ(-4%、シェア25%)、TikTokが77億7,900万バーツ(+16%、シェア24%)、YouTubeが31億8,000万バーツ(-15%)です。プラットフォーム別・業種別の数字も、すべて上半期の実績と下半期の予測を合わせた2026年通年の見込みです(Brand Buffet、Marketeer Online)。TikTokのシェアは2025年の21%から3ポイント上がりました。DAATの分類で「Eコマース」の広告も、13億4,500万バーツ(+28%)に伸びる見込みです(Brand Buffet、Marketeer Online)。
業種別では、**スキンケアが63億3,900万バーツ(+19%)で全体の20%**を占め、2位以下(通信・清涼飲料・乳製品がそれぞれ7%)を大きく引き離しています。スキンケアの広告費の出稿先は、TikTokが最も多くなっています(Marketeer Online、Brand Buffet)。伸び率では医療・健康が+58%、ヘアケアが+39%、オーラルケアが+31%でした。一方、ビタミン・サプリメントは-36%と大きく減っています(Marketing Oops!)。DAATは発表資料を自団体のサイトにまだ載せていないため(10月15日時点)、数字は複数の業界メディアの報道で照合しました。
セラー視点: これは広告費の集計で、売上の数字ではありません。それでも、スキンケアは広告費が最も大きい業種で、その出稿先として最も多いのがTikTokです。ヘアケアとオーラルケアは広告費が伸びている途中で、サプリメントは広告が減っています。同じカテゴリーをTikTokで売るなら、広告の混み具合の目安になります。
短信: 次に見ておきたい動き
- バンコクの全国ブックフェア(10月23日〜11月1日): タイ出版販売協会(PUBAT)が主催し、912ブースが出展します。売上目標は昨年並みの4億7,500万バーツ以上です(Marketeer Online)。2025年に取得されたISBNは、マンガ・コミックが3,873点で最も多い分野でした(Marketeer Online)。10月20日にはTSUTAYA BOOKSTOREのバンコク1号店も開業します(先週号)。
- ヘイズの行方: ASMCのいう月末の季節の変わり目で雨が戻るかどうかを見ます。空気清浄機の品切れが解消に向かうかも、あわせて確認します。
今週の出来事の網羅は週刊ダイジェスト2026年10月12日号にまとめています。
