この10日ほどで、日本のセラーにとって参考になる「何が、どこで、どう買われているか」の数字が続けて出ました。ショッピージャパンは、8月に東南アジア・台湾・ブラジルの7市場で売れた日本商品を公表しました。抹茶とポケモン関連は年初から需要が続いているとしています。ベトナムでは1〜9月のEC流通総額が前年同期比+22%となり、7〜9月は日用品(FMCG)が+36%と最も伸びました。決済会社Xenditの域内調査では、EC全体に占める越境ECの比率や、買い物をやめる理由が国ごとにまとまっています。フィリピンの年末商戦の見通し、セールカレンダー、短信の順にまとめます。

日本商品の売れ筋: 8月は抹茶、ポケモンカード、ベトナムのJビューティー

ショッピージャパンは10月9日、2026年8月に7市場で売れ筋だった日本商品を公表しました(ショッピージャパン)。市場ごとに2〜3商品を挙げる形式です。7月分(10月1日号のトレンドウォッチで紹介)と同じく、順位の基準(販売数か金額か)や数量は書かれていません。

  • シンガポール: Herbaseのナットウキナーゼ、丸久小山園の抹茶(京都宇治産)、Vitanad+のNMNサプリメント
  • マレーシア: 同じナットウキナーゼとNMN、ポケモンカードゲームの日本語版ブースターボックス
  • フィリピン: 丸久小山園の抹茶パウダー、カー芳香剤のAir Spencer、ロート製薬の目薬
  • タイ: 美容パッチ、折りたたみ傘(Waterfront)、資生堂AQUALABELのジェルクリーム
  • ベトナム: MAJOLICA MAJORCAのまつ毛美容液2品、CEZANNEのハイライト
  • 台湾: ホーユーの白髪染め「CIELO」、UHA味覚糖の栄養グミ
  • ブラジル: 小林製薬のブレスケア、クラブコスメチックスのすっぴんパウダー

同社は過去の販売・検索データとの比較も載せています。抹茶関連は2026年1月から複数の市場で需要が続いており、8月は「matcha powder」がマレーシア・シンガポール・フィリピンで検索上位に入りました。ポケモン関連は第1四半期から需要が続いています。8月は「Pokémon Legends Z-A」の検索順位がマレーシア・フィリピン・タイで前月から大きく上がり、シンガポールでは「pokemon cards」が検索上位でした。ベトナムでは、日本の越境セラーによるビューティー商品の注文が数か月にわたって安定しているとしています。なお、リリース末尾の市場別の表は、フィリピンの注目点を「ヘアケア、健康関連、ホビー」としていますが、同じリリースのフィリピンの商品一覧(抹茶・芳香剤・目薬)とは一致しません。ブラジルも、表は「日本発のホビー商品も売れ筋に」としていますが、一覧にホビー商品はありません。表の記述は一覧と分けて読む必要があります。

ベトナムEC(1〜9月): 日用品が最も伸び、消費者の「品質重視」が強まる

ベトナムのECデータ分析会社YouNet ECIは10月13日、7〜9月期の報告を発表しました。主要ECモールの流通総額(GMV、同社の推計)は1〜9月で411.8兆ドン、前年同期比+22%です。上半期の+19%から、7〜9月期は+27%に加速しました(YouNet ECI)。

カテゴリ別では、**日用品(FMCG)**が1〜9月で+26%、7〜9月期だけでは+36%と、同社が追う分野の中で最も伸びています。ファッション・アクセサリーは+22%(シェア28%)、美容は+17%(同13%)でした。モール別のシェア(1〜9月)はShopeeが53%、TikTok Shopが45%です。伸び率はShopeeが+12%、TikTok Shopが+38%で、7〜9月期の両社の差は4.3兆ドンまで縮みました。

同社が調べる「オンライン消費者信頼感指数(eCCI)」は、4〜6月期の122から7〜9月期は141に上がりました。今の収入を前向きに評価する人は58%(前期45%)です。買う時に重視する点では、「商品の品質」が74%(前期53%)で1位、「価格」が67%で2位でした。「値引き・販促」の重要度は前期より7ポイント下がっています。同社は年末の購買額が前年比で20%を超えて伸びるとみていますが、消費者が「セールなら何でも買う」状態ではないとも書いています。

決済と越境購入: 越境ECの比率はシンガポール19%、カゴ落ちの理由は国で違う

決済会社Xenditと調査会社Cubeは10月15日、域内6か国の買い物客6,000人と企業の経営幹部25人への調査、Xenditの決済データをもとにしたレポートを公表しました。東南アジアのEC市場は2025年に1,970億米ドルで、Shopee・Lazada・TikTok Shopの3社合計では2026年1〜3月期に前年同期比約+33%でした。代金引換(COD)の比率は、2019年の約半分から3分の1を大きく下回る水準まで下がっています(Cube)。レポート本体はメール登録制のため、以下の国別の数字は報道によります。

越境ECに関わる数字では、域内の消費者が海外の売り手から買う額を年230億〜240億米ドル(ネット販売の約1割)と推計しています。各国のEC全体に占める越境ECの比率は、**シンガポール19%、タイ15%、ベトナム14%、マレーシア12%、フィリピン9%、インドネシア6%**です。報道では、金額ベースか件数ベースかは示されていません(e27)。

買い物を途中でやめる(カゴ落ち)いちばんの理由も国で分かれました。インドネシア(51%)、フィリピン(41%)、マレーシア(31%)は「使いたい決済手段がない」、ベトナム(42%)とタイ(33%)は「セキュリティへの不安」、シンガポール(26%)は「手順が多すぎる」です(e27)。インドネシアの51%は、同国の回答者1,000人のうち、直近3か月に決済手段が理由で購入をやめた人の割合です。同国では70%が、ネット購入の半分以上を電子ウォレットで払っています。1年前よりCODを「かなり使わなくなった」人は、インドネシアで40%、タイで45%でした(youngster.id)。

年末商戦の地合い: フィリピンは「価値重視」、マレーシアはディーパバリ前

フィリピンでは、9月の物価上昇率が7.2%(8月6.1%)と3年超ぶりの高さになりました。BusinessWorldが10月18日に伝えた証券会社アナリストの見方では、10〜12月期の小売売上は、クリスマス需要や海外送金、年末賞与に支えられて7〜9月期より強まるものの、伸び方はまだらになりそうです。マニラ首都圏の最低賃金は9月26日に60ペソ上がって755ペソになりましたが、COL Financialのアナリストは「広い範囲での年末の盛り上がりではなく、慎重で価値重視の支出」になるとみています。店とネットで価格を比べる動きも強まるとしています(BusinessWorld)。

マレーシアは11月8日(日)がディーパバリです(サバ州政府)。小売では10月、スイスのチョコレートメーカーLindtが東南アジア初の店舗をクアラルンプールのThe Exchange TRXに開きました。小売グループValiramと組んだ旗艦店で、19種類から選べる「Pick & Mix」のコーナー、クリスマス商品、贈答品のカスタマイズを扱います。11月にはMerdeka 118とMid Valley Megamallにも出店する予定です(Inside Retail Asia)。

飲料では、Euromonitorが東南アジアの清涼飲料の小売市場を2030年に297億米ドル(2025〜30年の年平均+3%)と予測しています。中国勢の現地化の例として、元気森林(Chi Forest)はインドネシアで砂糖ゼロの炭酸水をIndomaret・Alfamartで売り、中国で作った商品でもハラール認証を取りました。農夫山泉の「茶π」はマレーシアで英語表記のブランドとして浸透しているとしています(Retail Asia)。

中国からの越境: タオバオが「DISCOVER」とAI試着、配送の補償

中国のタオバオは10月15日、海外の買い物客向けのサービスを改めると発表しました。15のカテゴリ(ファッション、家具、おもちゃ、文具、ペット用品など)で商品を薦める「DISCOVER」を設けますが、今は中国語版のアプリでしか使えません。あわせて、越境で買える30億点超の商品から、AIと人の審査で中国のオリジナルブランド4,000店超・600万点を選ぶ仕組みを作ったとしています。ほかにAIの試着・メイクのお試し・ARの家具配置を強化し、一部の市場では配送の追跡、紛失・破損時の補償、返品の手続きを改善します。2025年の「ダブル11」では、1注文300リンギ超を使った海外の買い物客が前年比10%増えたとしています(Malay Mail)。

セールカレンダー: 11.11はLazadaが広告の受付を開始、Harbolnasは12月10〜16日

10.10は、Shopeeシンガポールの告知上の会期(10月1〜17日、前号)も終わりました。各社の実績値の発表は、10月19日時点で確認できていません。

11.11について、Lazadaの広告サービスLazada Sponsored Solutionsは10月16日、「11.11 Mega Brands Sale」向けの広告案内を出しました。マレーシア・フィリピン・シンガポール・タイ・ベトナム・インドネシアの6か国が対象で、広告の成果(ROAS)が基準を下回った場合に、広告費の一部(上限80%)を広告用のバウチャーで還元する制度を打ち出しています。ただ、セールの会期は書かれていません(Lazada Sponsored Solutions)。還元を受けるには、自動入札を使うこと、ティーザー期間の前にキャンペーンを作ること、キャンペーン期間中の注文が「日数×5件」以上あることなどが条件です(Lazada Sponsored Solutions・10月2日)。Shopeeの11.11の会期も、10月19日時点では公式の告知を確認できていません。

インドネシアの「全国オンラインショッピングの日(Harbolnas)」は、12月10〜16日の7日間です(インドネシア商業省)。政府は取引額で40兆ルピア(2025年は36.4兆ルピア)を目標にしています(ANTARA News)。今年はECモールだけでなく、旅行予約サイト、配車アプリ、ソーシャルコマースにも対象を広げます。2025年は国産品の取引が16.6兆ルピアで全体の約45%でした(Katadata)。セールカレンダーには、Harbolnasとマレーシアのディーパバリを加え、終わった10.10とタイの菜食祭を「直近の実績」へ移しました。

短信

  • ヘイズの続報: シンガポールではXiaomiの空気清浄機の売上が10月前半に前年同期比19倍超になり、国内18店すべてで在庫が切れました。Gain Cityの売上はヘイズの季節が始まった8月の水準の約9倍で、ネットの薬局ではN95マスクの品切れ表示が続きました(The Edge Malaysia)。マレーシアでは各州の教育局が10月18日、セランゴール・ヌグリスンビラン・ムラカ・パハン・ペナンの学校を19日に再開すると発表しました。セランゴールは屋外活動を止めてマスクの着用を勧め、ヌグリスンビランは大気汚染指数(API)が100を超えたら屋外活動を止めるとしています(Malay Mail)。需要の詳しい動きは10月15日号のトレンドウォッチにまとめています
  • TikTok Shopフィリピン、返品・表示のルールを変更: 10月15日から、商品情報の誤った表示に対する処分を強めました(アカウント健全性の評価で最大20点の減点、商品の停止など)。10月27日からは、プラットフォームが認めた返金に対する異議の申し立てを7日以内とし、開封時の動画などの証拠を求めます。税務当局(BIR)の登録証のバッジを取得済みの出品者には、ショップのヘッダーへの表示を10月31日までに求めています。11月にはライブ配信で使う「グループ購入」と「値下げ」の機能を始めます(TikTok Shop フィリピン)