今週は3本です。Appleの折りたたみiPhone「iPhone Duo」が10月23日に発売され、シンガポールでは前日に購入希望者へリストバンドが配られ、当日の午前4時半には約200人が店の前に集まっていました。シンガポールでは、飲料容器のデポジット制度(BCRS)の移行期間が9月末で終わり、Shopeeは基準を満たさない飲料の出品を10月1日から掲載停止にすると告知しました。フィリピンでは、世界的なウベ(紫ヤム)ブームの中で、生鮮ウベの輸出停止が続いています。

iPhone Duo: シンガポールで約200人の行列、マレーシアは初回分の多くが1時間以内に売り切れ

9月17日号で発表を取り上げたiPhone Duoが、10月23日に第1陣の70以上の国と地域(マレーシア・シンガポール・タイ・ベトナムを含む)で発売されました。さらに28の国と地域で10月30日から発売されます(Apple Newsroom)。

シンガポールでは、オーチャードのApple Storeの前に、午前4時半の時点で約200人が集まっていました。並ぶ人には前日の22日にリストバンドが配られ、店は午前8時ごろに開きました。隣のCourts Nojima(The Heeren)にも約40人が並び、のちに「売り切れ」の表示が出ました。発売から2時間以内に、2TBモデルが中古売買サイトのCarousellに5,500シンガポールドルで出品されています。2TBの定価は4,899シンガポールドルです(Mothership)。

マレーシアでは、予約が10月16日午後8時に始まりました(Apple Newsroom)。現地のIT系メディアLowyat.NETは17日、初回の割り当て分の多くが予約開始から1時間以内に売り切れ始めたと報じました。この時点で販売店のSwitchは全モデルが売り切れでしたが、販売店のMachinesや通信キャリアには一部の仕様が残っていました。Appleの公式オンラインストアで新たに注文した場合のお届けは、2027年1月と表示されていました。Appleのマレーシアの製品ページは、24日の時点で「現在はオンラインでのみ購入可能(配送または店舗での受け取り)」と表示しています(Apple)。Lowyat.NETの20日の追記によると、Apple Store TRXに並んでも、店頭でその場で買うことはできません(Lowyat.NET)。

インドネシアでは、正規販売店のiBoxとErafoneが、10月23日午前9時(西部時間)に予約を始めると告知していました。販売開始は10月30日の予定です(detikINET、21日の記事)。23日の受付開始後、Liputan6が販売店のサイトを確認したところ、数時間のうちにiBox・Digimap・Hello Storeで一部の仕様が「在庫切れ」になっていました。同紙は、販売台数も各販売店の在庫数も、公式な数字はまだ出ていないとしています(Liputan6)。

セラー視点: 今回読んだ報道には、各店の割当台数や販売台数の公式な数字は出てきません。「売り切れ」の報道だけでは、売れた台数の多さはわかりません。分かっているのは、端末が利用者の手に届く時期にばらつきがあることです。マレーシアでは17日の時点で、Apple公式オンラインストアの新規注文のお届けが2027年1月でした(Lowyat.NET)。Apple純正のケースは319リンギ、スタンド付きのフォリオは529リンギで、ケース類を扱う場合の比較の目安になります(Apple Newsroom)。

シンガポールの飲料デポジット: 回収機に行列、Shopeeは非対応の出品を掲載停止に

シンガポールの飲料容器デポジット制度(BCRS)は4月1日に始まり、移行期間は9月30日で終わりました。10月1日からは、対象の飲料をデポジットマークとバーコードの付いていない容器で供給したり、供給を申し出たり(offer to supply)すると違反になります(BCRS Ltd.)。違反した場合は、最高1万シンガポールドルの罰金か3か月以下の禁錮、またはその両方です(資源持続可能性法23P条)。対象はプラスチックと金属の容器に入った150ml〜3Lの飲料で、デポジットは1本10セントです。紙パック、パウチ、ガラス瓶は対象外です(NEA)。マークのない在庫を処分しきれない小規模な小売店とNPOについては、NEAが9月30日までの申請を個別に審査し、認めた場合は10月31日まで猶予しています。9月29日の時点で申請は2,000件を超え、処理を終えた1,600件余りの約85%を承認しました。認められなかった申請者は9月30日までに在庫を処分する必要がありました(NEA)。

ウッドランズでは、回収機に行列ができています。新明日報の報道を紹介したMothershipによると、近くの店の店員の話では、平日の夜に寮で暮らす外国人労働者が回収機の前に並びます。39歳の男性は寮で集めた缶を週2回、1回に200本ほど返し、月に約160シンガポールドルの払い戻しを受けているそうです。19日には回収機が故障していて、30分のあいだに15人が大きな袋を抱えて来ては、そのまま帰っていきました(Mothership)。NEAは、1,000台超の回収機で制度を始め、初年度に回収拠点を2,000か所に倍増させることを目標にしています(NEA)。

Shopeeシンガポールは9月29日付のセラー向けガイドで、10月1日から基準を満たさない出品を掲載停止(delist)にすると告知しました。出品には、実物の容器のデポジットマークとバーコードが写った画像が少なくとも1枚必要です。容器の種類、1パックの本数、容量も入力します。デポジットは購入画面で別の行として自動で加算されます。GSTの対象外で、販売手数料の計算にも含まれず、セラーにはエスクローで全額が支払われます。マークがない出品などは掲載停止となり、3日以内に直さなければ削除されます。デポジットを取引の外で受け取った場合は即削除です。出品が削除されると、ペナルティポイントが最大2点付くことがあります(Shopee)。

セラー視点: 日本の缶飲料やペットボトル飲料も、シンガポールで売るなら1本ずつにマークとバーコードが必要です。制度への登録義務を負う「生産者」は、シンガポールで製造する会社と輸入する会社と定義されています。シンガポールの登記会社が輸入する場合は、それぞれが登録する必要があります。一方、マークとバーコードのない対象飲料の供給や供給の申し出は、スーパーなどの販売者を含め、誰が行っても違反になります。マークは、指定の印刷会社に頼んでステッカーで貼ることもできます(BCRS Ltd.)。Shopeeのガイドは、この要件が「シンガポールで販売するすべてのセラー」に当てはまるとしています。ただし、海外から直送する越境出品の扱いは、ガイドでも制度運営者のFAQでも個別には書かれていません。ガラス瓶と紙パックは制度の対象外です。

フィリピンのウベ: 生鮮の輸出は止めたまま、増産と加工品の輸出へ

フィリピン農業省(DA)によると、植物産業局は8月中旬、生鮮のウベと、植え付けに使える部位の輸出を期限を定めずに止めました。食用・植え付け・研究のどの目的でも対象です。検疫所には、植物検疫証明書の発行を止めるよう指示が出ています。農業長官は「国内でも植え付け用の材料がひどく不足している」と説明し、自国の品種で外国に競争相手を育てたくないとも述べています(DA)。

DAは同じ発表で、大統領が2027年のウベ産業向けに3億ペソの予算を承認したとしています(DA)。その後の動きです。The Manila Timesの10月7日付の記事によると、DAは初年度の資金として3億ペソを求め、栽培面積を1,000ヘクタール広げる計画です。いまの生産量と面積を少なくとも倍にする規模で、11月の収穫と苗の増殖の時期に合わせて準備しています。長官は、粉末、ピューレ、ジャム、アイスクリーム、香料などの加工品の輸出は全面的に支援するとし、生鮮の輸出制限は2028年まで続く見通しだと述べました。2025年のウベの輸出額は306万ドルでした(貿易産業省の数字)(The Manila Times)。

業界誌Confectionery Newsは10月13日、スターバックスやコスタ・コーヒーもウベを使っていると伝えました。ウベの供給会社Philippine Ubeの創業者は、少なくとも10社の買い手から「自分たちも輸入できなくなるのか」と問い合わせがあったと話しています。そのうえで、海外で「ウベ」と呼ばれているものの多くは紫芋(サツマイモ)か着色料だ、とも指摘しています。同氏は、色だけでは本物の証明にならないとし、買い手は品種・配合・産地を尋ね、ロット単位で産地までたどれる記録を求めるべきだと話しています(Confectionery News)。

セラー視点: 輸出が止まっているのは生鮮品と植え付けに使える部位だけで、粉末やジャムなどの加工品は対象外です。一方で、海外では紫芋や着色料の商品も「ウベ」として売られている、と業界の当事者が指摘しています。ウベ味の商品を仕入れる場合、同氏が挙げる確認点は品種・配合・産地と、ロット単位の記録です。

短信: 次に見ておきたい動き

  • ヘイズの続報: シンガポールでは、Xiaomiの空気清浄機の売上が10月前半に前年同期の19倍を超えました。同社の18店舗すべてで在庫が切れ、15日から新しい入荷が店に届き始めています(The Edge Malaysia)。マレーシアでは、酸素ボンベや酸素濃縮器を扱う会社の営業担当者が、ヘイズで売上が35%伸びたと話しています(比較の基準と期間は記事に書かれていません)。同社の技術者によると、濃縮器のフィルターの寿命はヘイズで半分になっています(Malay Mail)。NEAによると、24日午後5時のシンガポールの24時間PSIは108〜151で「健康に良くない」の水準でした。週明けは南西か西の風になり、雨も見込まれるため、改善しそうだとしています(NEA)。先週号で取り上げた空気清浄機の品切れも、天候しだいで落ち着くかを見ます。
  • 10月30〜31日: インドネシアでiPhone Duoの販売が始まります(30日)。シンガポールでは、BCRSの猶予を認められた小売店とNPOの期限が来ます(31日)。

今週の出来事の網羅は週刊ダイジェスト2026年10月19日号にまとめています。