今週は3本です。TikTokに投稿があふれる柔らかい玩具「スクイーズ」について、マレーシアとフィリピンの当局が9月から10月にかけて押収や警告に動きました。Labubu(THE MONSTERSシリーズ)で知られるPop Martは、7〜9月期のアジア太平洋の売上が前年同期比65〜70%減だったと開示しています。8月の日本茶の輸出では、マレーシアが金額で3位に入りました。

スクイーズ玩具: マレーシアは2週間で5,801個を押収、フィリピンFDAは購入前の確認を呼びかけ

柔らかい手触りの玩具「スクイーズ(squishy)」に、東南アジアの当局が目を向けています。形は立方体や球、食べ物をかたどったものなどさまざまで、中身にはフォームやジェル、液体、粉、砂、水で膨らむビーズなどが使われることがあります(FDA 2026-1705)。フィリピンの英字紙Philippine Starは10月30日、TikTokをはじめSNSにはスクイーズの投稿があふれ、買い集めたものを見せる「squishy haul」という呼び名も生まれていて、Z世代に人気だと報じました。マニラの大学で、1ダース850ペソで仕入れたスクイーズを同級生に1個80ペソで売っていた学生の例も紹介しています(Philippine Star)。

マレーシアの国内取引・生活費省(KPDN)は10月25日、10月1〜14日にスクイーズを対象とする特別検査を行い、製造・輸入・卸・小売の1,845か所を調べたと発表しました。15件の摘発で、必要な安全適合マーク(Safety Compliance Mark)を表示していない5,801個(7万428リンギ相当)を押収しています。同省は、消費者保護法(1999年法律第599号)に基づく規則を守らない業者には妥協しないとし、保護者には購入前にラベルと安全適合マークを確かめるよう呼びかけました(Malay Mail、The Star)。全国の発表に先立つ10月13日には、同省のトレンガヌ州支部が、3〜12日の州内の検査で2,380個(3万391リンギ相当)を押収したと発表していました。全国の5,801個にこの州の分が含まれるかは、どちらの発表にも書かれていません。州支部は押収の理由を、MC(Malaysian Conformity)マークの要件が定める安全基準に適合していないためと説明しました。14歳未満の子ども向けの玩具は定められた基準に適合する必要があるとして、製造・輸入・流通・小売の各業者に、適合マークの表示を確かめるよう求めています(Bernama)。

フィリピン食品医薬品局(FDA)は、9月14日付と9月30日付の勧告(サイトへの掲載は10月3日と10月17日)で、「SQUISHY DELICIOUS BLUE」と「SQUISHY DELICIOUS GREEN」の2商品を購入も使用もしないよう警告しました。いずれも、玩具・育児用品として必要な届出の証明書(CPN)が出ていないことを確認したものです(それぞれ9月9日、9月24日時点)。許可のない製品の製造・輸入・販売・広告は禁じられており、販売店にも扱わないよう求めています(FDA 2026-1178、FDA 2026-1521)。続く10月26日付の通知(28日にサイト掲載)では、スクイーズ全般について注意を促しました。強い化学臭、油っぽさやべたつき、液漏れ、破れやすさを見分けるポイントに挙げ、製造者・輸入者の情報がない、表示や対象年齢が不十分、売り手が分からない、不自然に安い商品にも注意するよう求めています。海外では、有害物質や水で膨らむビーズを含む偽造品・非適合品への措置や、ベンゼンの濃度が高い製品の調査があったと説明しつつ、すべてのスクイーズが危険という意味ではないとしています(FDA 2026-1705)。

セラー視点: マレーシアは安全適合マーク(州支部の説明ではMCマーク)、フィリピンはFDAのCPNと、どちらの当局も玩具として国ごとの手続きと表示があるかを見ています。マレーシアの全国検査は、製造・輸入から小売までのすべての段階が対象でした。フィリピンFDAが注意点に挙げた製造者・輸入者の情報や対象年齢の表示は、商品のラベルと出品ページの記載の両方にかかわります。海外から直送する越境出品がこれらの手続きでどう扱われるかは、今回の発表には書かれていません。

Pop Mart: 7〜9月期のアジア太平洋は65〜70%減、上半期はShopee経由が6割減

Labubu(THE MONSTERSシリーズ)で知られるPop Martは10月27日、2026年7〜9月期の業績概況を香港取引所に開示しました。売上(未監査)は前年同期比45〜50%減です。地域別では、中国が25〜30%減、アジア太平洋が65〜70%減、米州が70〜75%減、欧州その他が50〜55%減でした。中国ではオフラインが5〜10%減にとどまり、オンラインは45〜50%減です。アジア太平洋は「中国以外のアジアとオセアニアの国と地域」で、国別の数字は出ていません(Pop Mart)。同社の区分では、香港・マカオ・台湾は「中国」に含まれ、アジア太平洋には入りません(Pop Mart)。比べる相手の2025年7〜9月期は、全体が245〜250%増、アジア太平洋が170〜175%増と急拡大した時期でした(Pop Mart)。

チャネル別の内訳は、8月20日の上半期決算に出ています。1〜6月のアジア太平洋の売上は25.75億元で、前年同期比9.7%減でした。オフライン(小売店とロボショップ)は16.2%増え、うち小売店は14.9%増でした(店舗数は69から90に)。一方、オンラインは39.8%減っています。オンラインのうちShopee経由は2.81億元から1.07億元へ62.1%減、その他のオンラインも4.75億元から1.99億元へ58.2%減で、自社アプリ・公式サイトだけが8.1%増えました。同社は、外部からの集客の効果が薄れてきたため、オンラインを「規模の拡大」から「きめ細かな運営」に切り替え、中核のチャネルに絞っていると説明しています。Labubuを含むTHE MONSTERSの上半期の売上は44.5億元(前年同期比7.5%減、編集部計算)で、売上に占める割合は34.7%から26.0%に下がりました(Pop Mart)。上半期決算の全体像は8月24日号の週刊ダイジェストにまとめています。

セラー視点: 上半期のアジア太平洋では、オフラインが伸びた一方でオンラインが39.8%減り、Shopee経由(62.1%減)とその他のオンライン(58.2%減)がともに大きく落ちていました。7〜9月期の開示には、アジア太平洋のチャネル別の内訳はありません。また、開示はPop Mart自身の売上で、転売や並行輸入を含めた市場全体の取引は表していません。同じモールでPop Mart製品を扱っているなら、同社自身のShopee経由の売上が6割減ったという数字は、自分の販売データと照らし合わせる材料になります。

日本茶の輸出: 8月はマレーシアが金額で3位に、ほかのASEAN向けは量が4割減

日本茶輸出促進協議会が10月1日に公開した8月の国別・形状別の統計(財務省貿易統計などをもとに作成)では、マレーシア向けの緑茶が5.49億円(前年同月の3.67倍)、61.6トン(同61.8%増)でした。輸出先の順位は金額で米国、ドイツに次ぐ3位で、前年同月の10位から上がっています。金額の96%が粉末状で、1kgあたりの単価は3,925円から8,908円に上がりました(日本茶輸出促進協議会)。農林水産省も、8月の緑茶の輸出額は92億円(前年同月比57.3%増)で、主な増加先は米国、マレーシア、ドイツだったとしています(農林水産省)。

ASEAN全体では、8月の輸出額が12.27億円で54.2%増えた一方、量は144.5トンで21.1%減りました。マレーシアが金額の約45%を占めます。マレーシアを除いて編集部が計算すると、ほかのASEAN向けは金額が4.9%増とほぼ前年並みで、量は42.9%減(前年の約57%)です。7月はASEAN全体で「金額は前年並み、量は約半分」でした(9月25日号)。ベトナム向けは量が41.1%減で金額が36.9%増、タイ向けは量が48.6%減で金額が3.6%増でした(日本茶輸出促進協議会)。

セラー視点: マレーシア向けは量より金額の伸びがはるかに大きく、単価の高い粉末状に寄っています。この統計は輸出先の国までしか示さないため、マレーシアで飲まれたのか、加工や再輸出に回ったのかは分かりません。また、1品目20万円以下の少額貨物は財務省の貿易統計に計上されません(農林水産省)。越境ECの小口発送は、この月次の数字にはほとんど表れません。抹茶の域内需要は抹茶の特集にまとめています。

短信

  • ベトナム、Shopeeの10.10で日本の美容が伸びた: ショッピージャパンが10月27日に公表した10.10(10月10日)の実績では、ベトナムで日本の越境セラーの美容カテゴリーのGMVが前年比576%増え、スキンケアとメイク用品が好調でした。実数は公表されていません(ショッピージャパン)。YouNet ECIが自社ツールEcomHeatで推計したベトナムの主要4モールの合計では、7〜9月期の美容(パーソナルケアを除く)のGMVは前年同期比28%増でしたが、販売価格の上昇が続くなかで注文数は伸び悩んでいるといいます(YouNet ECI)。
  • スクイーズの報道は続編へ: Philippine Starの10月30日の記事は2回連載の1回目です(Philippine Star)。

今週の出来事の網羅は週刊ダイジェスト2026年10月26日号にまとめています。