8.8ウィークが終わり、各社の実績値待ちの週です。そのあいだに動いた需要側の材料を3本。Shopee Japanが8月11日に出した最新の売れ筋データでは、日本商品の上位が先月の工具からUV・花粉対策のコスメへ入れ替わりました。ベトナムでは新学期商戦がすでに始まっていますが、同じ記事のなかに「消費者の63%が支出を絞っている」という数字も並んでいます。そして8月下旬、Pop Martのトイコンベンションが今年は世界でシンガポール1回だけ開かれます。

日本商品の上位がUV関連に寄った——ベトナム・フィリピン・マレーシアで揃って上位

Shopee Japanが8月11日に公開した公式コラム「2026年8月号 人気急上昇商品」は、日本セラーの商品が各国でどう売れているかを月次で出しているものです。今月の内容は、先月と比べると顔ぶれがはっきり変わりました。

「人気急上昇!日本の商品(売上額基準)」の1位はベトナムの資生堂 IHADA フェイスプロテクトパウダー 9g。コラムは「肌への優しさと、花粉や紫外線などの微粒子から肌を守る機能性が現地の消費者に高く評価された」としています。2位はブラジルの**小林製薬 ブレスケア(本体50粒+詰め替え用100粒)**で、携帯して手軽に口臭ケアができる実用性が評価された、という説明です(Shopee Japan 8月号)。

カテゴリ別では、ビューティー/美容でフィリピンの**サンベアーズ ストロング スーパー クールプラス 日焼け止め ウォータープルーフ UV SPF 50+ PA++++**が上位に入りました。さらに「マーケット別人気カテゴリ(売上額基準)」では、フィリピンが日焼け止めと各種スキンケア用品、マレーシアが「運動時や外出時の日焼け防止アイテム」に加えて健康維持のサプリメントと機能性日用品、と整理されています(同上)。ベトナムの1位も、コラムの説明どおりなら紫外線からの保護を訴求した商品です。3市場が同じ方向を向いています。

先月号(7月10日公開)と並べると、この移動がわかります。7月号でベトナムの1位に立っていたのはVessel の電動ドライバー(USB Type-C充電式)で、マレーシアでは目元用クリームが挙がっていました(Shopee Japan 7月号7月30日のトレンドウォッチ)。ベトナムの首位が工具からスキンケアへ1カ月で入れ替わったことになります。

セラー視点: このランキングには読むうえでの制約が2つあります。ひとつは、コラムが集計期間・母数・「売上額基準」の定義を書いていないこと。元データはShopee Japanが持っているもので、第三者が追試できません。順位そのものより、「同じ月に3市場でUV関連が上に来た」という重なりのほうを材料として扱うのが安全です。もうひとつは対象国の範囲です。同じコラムの末尾は「日本からシンガポール、マレーシア、フィリピン、タイ、台湾の5カ国に出店可能」と書いており、ランキングに登場するベトナムとブラジルはこの5カ国の外にあります。この2国の商品がどの経路で販売されているのかについて、コラムに説明はありません。自分のアカウントでどの国に出せるかは、コラムのランキングではなく管理画面で確認してください。そのうえで、SPF値やウォータープルーフのような数値で語れる機能は、翻訳しても意味が落ちにくい訴求です。

ベトナムの新学期商戦はもう始まっている。ただし財布は1年前より固い

ベトナムの2026-2027学年度に向けた買い物が、ホーチミン市で動き出しています。ベトナム通信社系のBáo Tin tức và Dân tộcが8月4日に伝えたところでは、市内の小売各社は6月初旬から新学期向け商品を棚に出しており、ノート・筆記具・ペンケース・リュック・水筒・制服の売り場に保護者と学生が集まっています。

値引きの幅が具体的です。Saigon Co.opは7月23日〜8月5日に「Deal tựu trường - Giá yêu thương(新学期のディール・愛情価格)」を実施し、複数の商品群を20〜50%引きにしました。96ページのCo.op Selectノート10冊パックは91,000ドンから55,000ドンへ、一部のカラーペンは28%引き、なぞり書き・書き取りノートは33%引き、制服は20%引き、保温ボトルは約50%引きです。折りたたみ式ステンレス脚の学習机が105,000〜139,000ドン、学生用の水筒の多くが5万ドン未満という価格帯も示されています。書店側でもPhương Nam書店やFAHASAが7月末〜9月初旬に「Back to School」を展開し、ノートで「8冊買うと4冊」「4冊買うと2冊」といった数量特典を付けています(同上)。

同じ記事のなかに、逆向きの数字も入っています。NielsenIQのベトナム・フィリピン市場開発担当Nguyễn Cao Ngọc Dung氏によれば、消費者は商品を選ぶ前に必要性・品質・価格・使用期間を検討するようになっており、同社の調査ではベトナムの消費者の63%が「支出を慎重に絞っている」と回答しました。前年の57%から上昇しています。ホーチミン市商工局によると、一部スーパーでの学用品の購買力は通常日の1〜2倍に増えた一方、システム全体の売上増は前年同期比10〜15%にとどまります。同局の「2026年-丁未(Đinh Mùi)2027年テト」物価安定プログラムは、新学期期間にノート・学用品・制服・リュックなどを市場価格より10〜15%安く供給します。なお、プログラム全体(食品11群・学用品6群・日用品7群)の供給量が市場需要の20〜35%を賄うという見込みは、学用品に限った数字ではなく、時期によって変動するとされています(同上)。

セラー視点: 数量は動いているが単価は抑えられている、という形です。ノート・筆記具・制服のような定番の学用品は、ローカル小売が半額前後まで下げてきたうえに行政の価格安定プログラムが下支えしているので、日本からの越境で価格で並ぶのは難しい構図です。狙うとしたら、この記事で「5万ドン未満」と書かれた水筒の上の帯──保温性能やキャラクターで説明できる水筒・弁当箱・ペンケースといった、学用品の周辺にある耐久財です。Metricは第3四半期の主要4サイト(Shopee、Lazada、Tiki、TikTok Shop)合計の流通額を146.3兆ドン(前四半期比+2.31%)と予測し、季節要因として7月の夏休み旅行、8〜9月の新学期、季節の変わり目を挙げていますから、時期としては合っています(Metric)。ただし先週号で見たとおりベトナムの売れ筋の中心は依然10万〜20万ドンの帯です。63%という数字とあわせると、上に振るにしても一段だけ、が現実的な幅でしょう。

Pop Martのトイコンベンション、今年は世界でシンガポール1回だけ

Pop Martのフラッグシップイベント「POP TOY SHOW(PTS)Singapore 2026」が、**8月21〜23日にマリーナベイ・サンズのExpo & Convention Centre(Level 1, Halls A/B/C)**で開かれます(POP TOY SHOW公式)。開場は毎日11時〜19時、最終入場は18時30分で、シンガポールでは4回目の開催です(BusinessMirror掲載のリリース)。

注目すべきは開催地の数です。Time Out Singaporeは7月10日の記事で、今年のPTSは世界のどこを見てもこのシンガポール1回だけだと報じています(Time Out Singapore)。同記事にPop Mart側の理由説明は載っていません。

内容は、20周年を迎えるMOLLYが軸です。シンガポール初登場のMOLLY Chrysanthemum Ice Cream、MEGA ROYAL MOLLY 400% 20th Anniversary、20周年展示の限定マグネットが並びます。イベント限定品としてKUBO: Soup Dumplings、CHAKA Unicorn: Abide in the Light、HACIPUPU Giraffeも用意されます。海外アーティスト枠では、Matt Gondek × Ron Englishの「Lil' Shit POPaganda」(7インチ、100体、先着順で1日あたり1人2点まで)、メキシコのCatmyntとJenny Cherry(手描き5体のKawaiiju Rainbow Glow)、インドネシアのKongandri × Ericnoah、タイのWood You Mindによるマーライオン作品が入ります。シンガポール勢はMy SpaceCats、Pigeoncrafts、Sad Shrimps、Mox Monstersなど。チケットは3-Day Fun Passが1,500枚限定のS$268(早期入場・抽選枠・限定グッズバッグ付き)、通常券が事前S$40/会場S$45、3〜12歳の子供券がS$12です。公式パートナーにはF&N、海底撈、MG/Intelligence in Motion、ECOVACS、UGREENが名を連ねています(AlvinologyBusinessMirror)。

セラー視点: イベント限定品は100体・5体という数量なので、日本セラーが安定的に仕入れて回せる商材ではありません(こうした限定品の二次流通価格については、本記事で確認できた出典がありません)。読むべきは配置のほうです。先週のトレンドウォッチで見たように、Pop Martは中国外アジア太平洋の伸びが25〜30%まで落ち、2026年を「維持の年」と位置づけました。その年に、世界で唯一のコンベンションをシンガポールに置いている。IPグッズを扱うなら、8月下旬のシンガポールでコレクター向けの大型イベントが開かれるという事実を前提に、広告やクーポンの出し方を考える価値はあります。日本IPの正規ライセンス品を持っている場合はなおさらです。


今週の東南アジア全体のニュースは週刊ダイジェスト2026年8月10日号(w33)にまとめています。次に見ておきたいのは、8.8ウィークの実績値が各プラットフォームから公表されるかどうかと、8月21〜23日のPTS当日にシンガポールの二次流通がどう動くかです。日本産食材の需要については、農林水産省による7月単月の輸出実績の公表が次の目盛りになります。同省の統計ページによれば公表は9月2日13時の予定です(農林水産省7月の抹茶需要の整理はこちら)。